格闘ゲームのスプライトの作り方:パンチ・キック・足払い
格闘ゲームのスプライトは、2D ゲームのスプライトの中でいちばん難しい部類です。アクションゲームの主人公なら歩き、ジャンプ、攻撃がひとつあれば十分です。格ゲーのキャラは、ひと目で見分けがつく十数種類の攻撃、うっかり立ち上がらないしゃがみ姿勢、そしてすべての技で同じ顔と同じ服装が必要です。プレイヤーは何時間もこのキャラを見続けるので、粗はすべて目立ちます。
この記事では、格闘ゲームのスプライトが普通のキャラアニメと何が違うのか、基本キャラに必要な技、弱・中・強をフレーム単位でどう描き分けるか、そして技表全体で同じキャラを保つ方法を解説します。記事中のスプライトシートはすべて、当サイトの AI スプライト作成ツールで実際に出力した 8 フレームのもので、記事の最後で紹介する格ゲー技の選択機能を使っています。
格闘ゲームのスプライトは何が違うのか
格ゲーのスプライトシートが普通のキャラアニメと違う点は三つあります。
- 視点は常に横視点。 格ゲーのキャラは相手の方を向いた真横のシルエットで描きます。左右が入れ替わるとゲームがスプライトを反転するので、描く向きは一方向だけで、斜め向きは描きません。
- 攻撃は三つの段階に分かれる。 発生は打つ前の溜め、持続は相手に当たる瞬間、硬直は構えに戻るまでです。プレイヤーはこの三段階を見てガードや反撃のタイミングを決めるので、コードの中だけでなく絵として見える必要があります。
- 構えは約束ごと。 通常技はすべて同じ構えから始まり、同じ構えに戻ります。そうすることで技をつないでもキャラがポーズの間で飛びません。しゃがみ技はしゃがんだ姿勢で始まり、しゃがんだ姿勢で終わります。
スプライトシートを作るのが初めてなら、スプライトシートの作り方でセルサイズ、フレーム数、エンジンへの取り込みを解説しています。この記事はその内容を前提に、格ゲー特有の部分に絞って説明します。
基本キャラに必要な技表
古典的な 2D 格ゲーの攻撃ボタンは六つ、パンチとキックそれぞれの弱・中・強です。これに三つの姿勢(立ち・しゃがみ・ジャンプ)を掛けると、通常技は 18 種類になります。移動とやられのアニメを足すと、最小限のキャラはこうなります。
| アニメーション | 数 | 1枚のフレーム数 | メモ |
|---|---|---|---|
| 待機の構え | 1 | 6–8 | 常にループ。小さな呼吸の動きだけ。 |
| 前歩き・後ろ歩き | 2 | 8 | 後ろ歩きは前歩きの逆再生でも可。 |
| しゃがみ | 1 | 6 | 下段攻撃はすべてこの姿勢から。 |
| ジャンプ | 1 | 8 | 踏み切り、上昇、頂点、落下、着地。 |
| 立ち通常技 | 6 | 6–8 | パンチとキックの弱・中・強。 |
| しゃがみ通常技 | 6 | 6–8 | 同じ六つを低い姿勢で。 |
| ジャンプ通常技 | 6 | 6–8 | 空中で前下方向へ。 |
| やられ・ガード・ダウン | 3+ | 6–12 | ダウンは最後のフレームで止まる。 |
必殺技を入れる前の時点で、1キャラにつき約 25 枚です。格ゲーでほかのどこよりも一貫性が大事なのはこのためです。少しずつ違う 25 枚は、25 人の別人に見えます。
弱・中・強はちゃんと描き分ける
格ゲーのスプライトでいちばん多い失敗は、三つのパンチが実は同じパンチで速さだけ違う、というものです。格ゲーの強さは力の入れ具合ではなく攻撃の種類で、種類ごとにフレームの形が違います。
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弱攻撃は速くて短い攻撃です。拳や足は溜めなしでパッと出て戻り、体はほとんど回らず、すぐに構えに戻ります。上のシートでは 8 フレームの大半が構えで、腕が伸びているのは一瞬だけです。
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強攻撃は全身で打ち込みます。溜めで拳を腰まで引き、腰と肩をひねり込み、腕を伸ばしきって、空振りすれば反撃されるほどゆっくり戻ります。二つのシートを比べてください。強パンチは一歩踏み込み、伸ばした腕を 2 フレーム保っていますが、弱パンチはそうなっていません。
中はその中間で、短い溜め、まっすぐ伸びきる腕、普通の硬直です。
8 フレームのシートでの実用的な配分:
- 弱: 構え 1、発生 1、持続 2、硬直 3、構え 1。
- 中: 構え 1、発生 2、持続 2、硬直 2、構え 1。
- 強: 構え 1、発生 2、持続 2、硬直 2、構え 1。ポーズがいちばん大きく変わるのは持続フレーム。
三つの強さでシートのフレーム数は同じでかまいません。変わるのはフレームの使い方です。タイミングの微調整はエンジン側で、持続フレームの表示時間を長くして行えます。
しゃがみ技はしゃがんだまま
しゃがみ攻撃は最初から最後までしゃがみ姿勢で行います。最初のフレームもしゃがみ、最後のフレームもしゃがみで、途中で立ち上がりません。立った状態から始まってしゃがみ、また立ち上がるシートは別の技で、前の技が終わった姿勢から始まらないため連携も崩れます。
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しゃがみ強キックが代表例です。多くの格ゲーでは足払いで、前足を地面に沿って滑らせ相手を転ばせます。上のシートで変わらないものに注目してください。腰は上がらず、頭はずっと同じ低い位置にあり、最後に足はしゃがみ姿勢に戻ります。しゃがみ強パンチはたいてい逆の形で、拳を頭上まで突き上げる対空のアッパーです。
ジャンプ攻撃
ジャンプ攻撃は空中で、前下方向へ出します。相手は下に立っているからです。シートにはジャンプそのもの(踏み切り、上昇、頂点での攻撃、落下、着地)を入れて、攻撃がジャンプの軌道と合うようにします。
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ゲームで使えるジャンプのシートにするコツは二つです。空中でも地上と同じ大きさで描くこと。そして軌道を固定したい場合を除き、高さはフレームに描き込まずエンジンでスプライトを動かすこと。高さを描き込むなら、最初と最後のフレームの接地ラインを完全に揃えて、着地でガクッとしないようにします。
全部の技で同じキャラを保つ
この記事のスプライトシートをよく見てください。どれも同じ文章「白い道着の空手家」から生成したものですが、弱パンチだけ白帯で、ほかは黒帯です。どのシートも文章だけから作ったので、それぞれが生成ツールによる別々の解釈になっています。25 枚の技表では、こうした小さな違いがキャラを何人もの別人に見せてしまいます。
手描きの格ゲーキャラは、設定画と体のパーツの厳密な使い回しでこれを解決します。AI で作る場合、それにあたるのが参照画像です。最初の 1 枚を作り、その 1 フレームをほかのすべての技の参照にすれば、ツールは毎回キャラを作り直すのではなく同じキャラを描きます。SpriteGen では、完成したシートの次の動作ボタンがこれにあたります。そのキャラの最初のフレームを基準として残し、次の技を指定できます。同じ参照画像を使い続けて、ひとりのキャラの技を一式そろえましょう。
格ゲーはカラー違いや衣装替えも定番です。参照画像を設定したうえで、変更を技と一緒に書きます。たとえば「同じキャラで赤い道着と黒いハチマキ、強パンチ」。変更はすべてのフレームに反映され、それ以外は参照画像のままです。
トラブルを避けるためのルールもひとつ。キャラは自分で作りましょう。市販の格闘ゲームから抜き出したスプライトや、そのキャラを新たに描いたスプライトは、あなたが配布してよいものではありません。
SpriteGen で格闘ゲームのスプライトを作る
スプライト作成ツールには、この流れのための格ゲー技の選択機能があります。
- キャラを説明する。 たとえば「白い道着に黒帯の空手家」。キャラの画像がすでにあれば参照画像に入れます。
- 視点は「横視点」を選ぶ。
- 動作エリアで「格ゲー技」を開き、三つを選びます。姿勢(立ち・しゃがみ・ジャンプ)、攻撃(パンチ・キック)、強さ(弱・中・強)です。「しゃがみ強キック」は足払い、「しゃがみ強パンチ」は対空アッパーになります。
- フレーム数を選ぶ。 通常技はたいてい 8 フレームで足ります。強攻撃をなめらかに見せたいなら 12 フレームです。
- 生成したら、次の動作で同じキャラのまま技表を埋めていきます。
プレイヤーが書くように、説明欄に技を直接書いても大丈夫です。「しゃがみ強キック」「cr.HK」「2HK」はどれも通じますし、六つのボタンの LP・MP・HP と LK・MK・HK も同様です。
どのシートも透明 PNG でセルが等間隔に並んでいるので、Unity、Godot、GameMaker、Phaser でそのまま切り出せます。エンジンごとの取り込み手順はほかのスプライトシートと同じです。格ゲーのキャラはアニメーションをループではなく 1 回再生にし、持続フレームをほかより少し長く表示すると、打撃に手応えが出ます。
さっそくキャラを作ってみませんか。スプライト作成ツールを開いてキャラを説明し、格ゲー技を選んで、最初のシートを生成しましょう。
キャラクターを動かしてみませんか?
キャラクターを説明するだけで、数分でゲームに使えるスプライトシートが完成。無料で始められます。
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